診療案内

MEDICAL

スポーツによる痛み

腰椎分離症

腰椎分離症とは

小学校高学年、中学生くらいのスポーツを積極的に行っており、体が硬いお子さんに発症する腰椎の疲労骨折の一種です。
野球、バスケ、サッカー、陸上、水泳など様々な競技で起こりえます。

腰椎分離症の症状

運動時の腰痛が多いです。
症状が進行すると授業中などに座っていても腰痛が出現するようになります。
腰を後ろに反らしたとき、ひねったときに痛みが増強するのが特徴です。

腰椎分離症の原因

体が硬いことが原因となります。
体を反る動作をするときには、胸椎、ハムストリングスなども使用して体の反りを出しますが、体が硬いために胸椎や下半身がうまく使えず腰だけで反り動作を出してしまいます。
その状態で、スポーツの反復動作を行うと、腰椎の「椎弓」という左右にある生理的に弱い部分に負担がかかり骨折を起こしてしまいます。

腰椎分離症の診断

スポーツを積極的にやっている体が硬い小中学生が腰痛で受診された際は疑います。
まずレントゲン撮影を行いますが、レントゲンで判別できることはまずありません。
MRICTを行って確定します。

腰椎分離症の治療

腰椎分離症にはどの程度進行しているかを示す病期分類があります。
軽い方から、①初期②進行期③終末期があります。
①初期と②進行期分離症であった場合は、硬性コルセットという装具を着用して運動中止となります。
運動中止の間は、再発・腰痛予防のためにストレッチングやコルセットを装着しても体幹筋力トレーニングなどのリハビリに取り組んでいただきます。
運動中止の期間は、①初期分離症で3ヶ月半、②進行期分離症で6~9ヶ月と言われております。
③終末期分離症では、骨がくっつく(骨癒合)ことはないため、主にリハビリで腰痛予防を行います。

筋筋膜性腰痛症

筋筋膜性腰痛症とは

主に中学生くらいの成長期のお子さんの腰痛で、画像上はっきりした異常がなく、背骨を支える筋肉に痛みや硬さがある場合、筋筋膜性腰痛症を考えます。

筋筋膜性腰痛症の症状

運動時の腰痛のみならず、安静時の腰痛も訴えることもあります。

筋筋膜性腰痛症の原因

多くは体の硬さが原因となることが多いです。

筋筋膜性腰痛症の診断

背骨を支える筋肉(脊柱起立筋)付近の疼痛や触診で筋肉の硬さがあったり、脊柱起立筋の骨盤付着部の疼痛がある場合は疑います。
レントゲンやMRIで腰痛の原因になりそうな異常を認めないことが必要です。

筋筋膜性腰痛症の治療

思春期の筋膜性腰痛性は体の硬さが原因となることが多いため、ストレッチングをメインにリハビリを行っていただきます。

膝の前十字靱帯断裂

前十字靱帯断裂とは

膝の内部にある安定性を確保するのに大切な組織である前十字靱帯が断裂し、症状を来す疾患です。

前十字靱帯断裂の症状

受傷した直後から、膝の痛み、腫れが強くなります。
膝のぐらつき感を自覚する場合もあります。

前十字靱帯断裂の原因

特に中学生、高校生くらいの女性に多いです。
そのくらいの年代の女性が、バスケなどのスポーツでジャンプして着地する際に膝を内側に捻って起こることが多いです。

前十字靱帯断裂の診断

前述のように中高生くらいの女性が膝を捻って受傷し、膝に強い痛みと腫れがあれば疑います。
診察で膝のぐらつき感を触知できる場合もあります。
レントゲンでは確定診断はできず、MRIにて行います。

前十字靱帯断裂の治療

前十字靱帯が断裂した場合は、自然治癒は見込めません。
手術にて靱帯再建術を行います。
当院では手術は行っておりませんので、大きな病院に紹介させていただきます。

足首をひねった

アキレス腱断裂

アキレス腱断裂とは

アキレス腱は、ふくらはぎからかかとをつないでいる腱になります。
アキレス腱断裂は、このアキレス腱が切れてしまう状態です。
この腱は足首の動きを制御する役割を果たしており、断裂すると歩行や運動に支障をきたすことがあります。

アキレス腱断裂の症状

アキレス腱断裂の症状は、足首の後方の急激な痛みが多いです。
たまに「ブチッ」と腱が切れた音を自覚する場合もあります。
歩行時に足を地面につける際に痛みを伴うことがあります。
また、足首の動きやつま先立ちが困難になります。

アキレス腱断裂の原因

30~40代の方でスポーツによる発症が多いです。
久しぶりにスポーツをされた方が、ジャンプ、着地、踏み込みの動作などが原因で、前述の症状を自覚することが多いです。

アキレス腱断裂の診断

スポーツをしている時に足首の後方が痛くなったなどの特徴的なエピソードがあれば疑います。
多くの場合はアキレス腱の部分に凹みを触れ、その部分に痛みを伴います。
うつ伏せでふくらはぎを握ると通常は足首が動きますが、動かなければ積極的にアキレス腱断裂を疑います。(Tompson test)
エコーやMRIで、アキレス腱の断裂を確認できれば確定となります。

アキレス腱断裂の治療

手術しない治療と手術する治療があります。
いずれの場合もスポーツへの復帰には長い時間がかかり、リハビリも慎重に行う必要があります。
手術する治療としない治療いずれもメリット、デメリットがあります。

手術しない治療

超音波にて、腱の断端(切れ端)が接触していることが確認できれば、手術せずに腱がくっつく可能性があります。
足首をギプスにて固定し、その後アキレス腱への負担を軽減する装具を使用して治療する方法になります。
メリットは手術を回避することができる点、感染症などの手術の合併症を避けることができる点があります。
デメリットは腱がくっつく可能性が100%ではない、再断裂する可能性が手術よりも高い点が挙げられます。

手術する治療

アキレス腱を縫い合わせる手術になります。
メリットは固定期間短くなる可能性がある(手術でどの程度しっかり縫合できたかによっても変わります)、再断裂する可能性が低くなる点があります。
デメリットは感染症などの手術による合併症の可能性がある、リハビリ開始まで時間がかかる可能性がある点が挙げられます。

手術するかしないかはそれぞれのメリット、デメリットを踏まえて検討して頂く必要があります。

文責 上田 英範
(日本整形外科学会整形外科専門医)

院長 上田 英範