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【Q&A】骨粗鬆症治療でよくある質問に医師が回答

医療

こんにちは!西尾市一色町の整形外科クリニック うえだ整形外科クリニック 院長 上田英範です。

健康診断で骨密度の低下を指摘されたり、ご家族から「もしかして骨粗鬆症?」と聞かれたりして、不安な気持ちで当院を訪れる方が多くいらっしゃいます。骨粗鬆症は、加齢とともに誰にでも起こりうる身近な病気ですが、その治療や予防について「よくわからない」「どうすればいいの?」といった疑問をお持ちの方も少なくありません。

そこで今回は、日頃から患者様から寄せられることの多い骨粗鬆症に関するご質問に、ひとつひとつ丁寧にお答えしていきます。

骨粗鬆症ってどんな病気?放っておくとどうなるの?

骨粗鬆症とは、骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまう病気です。
私たちの骨は、実は毎日少しずつ古い骨が壊され、新しい骨が作られる「骨代謝」という新陳代謝を繰り返しています 。
このバランスが崩れてしまうと、骨密度が徐々に低下し、骨の中がスカスカな状態になってしまうのです。  

この病気の怖いところは、骨折するまでほとんど自覚症状がないことが多い点にあります 。
知らないうちに骨が弱くなっていき、気づかないうちに背骨が潰れてしまう「圧迫骨折」を起こしているケースも少なくありません。
背が縮んだり、背中や腰が曲がったように感じたりするのは、まさにそうしたサインかもしれません 。
一度骨折してしまうと、次にまた別の場所を骨折するリスクが2倍から4倍にも高まります 。
これを「骨折の連鎖」と呼びますが、この連鎖が続くと、最終的には介護が必要な状態になってしまうこともあります 。
だからこそ、自覚症状がないうちから、適切な検査と治療を始めることが非常に重要になります。  

骨粗鬆症の検査は痛いの?何をするの?

骨粗鬆症の検査は、患者様から「痛いのでは?」とご心配いただくことがありますが、実際にはまったく痛みを感じることはありませんのでご安心ください 。  

当院では、DEXA(デキサ)法という検査方法で骨密度を測定しています。
これは、腰の骨や太ももの付け根の骨に微量のX線を当てることで、正確な骨密度を調べる方法です 。
検査はベッドに仰向けになって寝ていただくだけで、かかる時間もわずか数分で済みます 。
このDEXA法は、骨粗鬆症の診断において最も信頼性の高い、いわば「ゴールドスタンダード」とされています 。  

さらに、当院では骨密度だけでなく、血液検査で「骨代謝マーカー」という項目も調べています 。
これは、骨が今まさに「壊されている最中」なのか、それとも「新しく作られている最中」なのかをリアルタイムで知るための重要な指標です 。
骨密度が正常値でも、骨代謝マーカーのバランスが悪いと骨折しやすい「もろい骨」である可能性が示唆されることがあります 。
これらの検査結果を総合的に評価することで、より患者様の骨の状態を深く理解し、一人ひとりに合った治療方針を立てていきます。  

骨粗鬆症の治療にはどんな種類があるの?

骨粗鬆症の治療には、骨の破壊を抑えたり、骨の形成を促したりする様々な種類のお薬があります。
当院では、患者様の骨の状態や年齢に合わせて、最適な治療方法をご提案しています。

お薬は大きく分けると、骨を新しく作るのを助ける「骨形成促進剤」と、骨の破壊を抑える「骨吸収抑制剤」の2種類に分けられます 。  

投与方法も様々で、毎日服用するタイプ、週に1回、月に1回服用する飲み薬 があります。
また、定期的にご自身で注射するタイプや、クリニックで注射を行うタイプもあります 。
注射薬の中には、月に1回、半年に1回、あるいは年に1回だけの投与で済むものもあり、ご自身のライフスタイルに合わせて治療を継続しやすくなっています 。  

治療費用についても、お薬の種類や自己負担割合によって変わりますが、飲み薬に比べて注射薬の方が高額になることがあります 。
しかし、医療費が高額になった場合には「高額療養費制度」を利用して負担を軽減することも可能ですので、費用面での不安についてもご相談いただければと思います 。  

日本骨粗鬆症学会が10年ぶりに改訂した2025年版のガイドラインでは、骨折リスクが高い患者さんに対して、より強力な効果を持つ新しいお薬の使用が推奨されるなど、治療選択肢が大きく広がっています 。
これにより、これまで以上に早期の介入と、個々の状態に合わせた治療で、骨折の再発を防ぎ、骨密度を改善することが可能になりました。

骨粗鬆症は継続的な治療が必要な病気です。
患者様のライフスタイルやご希望も考慮しながら、最適な治療法を一緒に見つけていきましょう。

治療薬についてよく聞かれる質問にお答えします

ここでは、治療を始めるにあたって患者様から特に多くいただくご質問にお答えしていきます。

Q. 治療はどれくらい続けるの?一生続けなきゃいけないの?

骨粗鬆症は完治する病気というより、高血圧や糖尿病のように継続的に管理していく病気だと考えていただくのが良いでしょう。
お薬でせっかく増えた骨密度も、自己判断で治療をやめてしまうと再び低下し、骨折リスクが高まってしまいます。
そのため、骨密度が安定していても、食事や運動療法に加え、薬物療法を継続していくことが大切です。  

Q. 注射薬は1年や2年で終わりと聞いたけど、その後はどうなる?

骨の形成を促進するお薬の中には、1年間や2年間で十分な効果が報告されているものがあります。
そうした場合、1年間や2年間の治療を終えた後も骨密度を維持するために、別のタイプのお薬(骨の破壊を抑えるお薬など)に切り替える対応が必要になります。
ご自身の判断で治療を中断することなく、必ず医師にご相談ください。  

Q. 飲み忘れたり、注射の予定日をずらしたりしたらどうしたらいい?

飲み忘れや注射忘れに気づいたら、慌てずになるべく早く、できるだけ次の予定日までに投与するようにしてください。
ただ、いつ投与すればいいか迷うような場合は、ご自身で判断せずに必ずクリニックにご連絡いただくのが一番安心です。
旅行や出張などでスケジュール調整が必要な場合も、事前にご相談いただければ対応方法をお伝えします。  

Q. 治療薬にはどんな副作用がある?

お薬の種類によって、様々な副作用が起こる可能性があります。
例えば、一部の注射薬では、投与後に一時的に発熱や倦怠感、関節の痛みといったインフルエンザに似た症状(急性期反応)が出ることがありますが、これらは数日から1週間程度で治まることがほとんどです。
また、内服薬では胃の不快感などの消化器症状が報告されています。
お薬を正しく服用することで、これらの副作用を避けることもできます。
長期的な副作用としては、顎骨壊死や非定型骨折といった稀なケースも報告されています。
当院では定期的な検査や診察を通じて、患者様の状態を細かくチェックし、副作用の早期発見に努めていますので、気になる症状があればどんなことでも遠慮なくご相談ください。  

薬に頼らない!食事と運動で骨を強くする方法

骨粗鬆症の治療は、お薬だけに頼るものではありません。
日々の生活習慣を見直すことが、骨を強くし、治療の効果を最大限に引き出すために非常に大切です。

まず、食事では、骨の材料となるカルシウム、その吸収を助けるビタミンD、そしてカルシウムを骨に定着させる働きがあるビタミンKをバランスよく摂ることが重要です。
牛乳や乳製品、小魚はカルシウムの代表的な供給源です。
魚やキノコ類はビタミンDを豊富に含み、納豆や緑黄色野菜はビタミンKを多く含んでいます。
これらを意識して食事に取り入れてみてください。
一方で、塩分、カフェイン、糖分はカルシウムの吸収を妨げたり、体外への排出を促したりすることがあるため、摂りすぎには注意が必要です。

次に、運動です。
骨は、適度な負荷が加わることで骨を作る細胞が活性化され、丈夫になります。
ウォーキングやジョギング、スクワットやふくらはぎの筋力トレーニングなど、自分の体重を支えるような運動を週に2、3回以上、習慣的に行うことをお勧めします。
これらの運動は骨を強くするだけでなく、足腰の筋肉を鍛え、体のバランス能力を高めることで転倒を予防し、骨折リスクを減らすことにもつながります。

骨がもろいと交通事故でも大ケガにつながる?

骨粗鬆症と聞くと、転倒による骨折を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、骨がもろくなっている状態は、交通事故に巻き込まれた際にも大きなリスクとなります。

健康な骨であれば、軽度の衝突事故は打撲や捻挫で済むことが多いでしょう。
ところが、骨粗鬆症の患者さんの場合、わずかな衝撃でも骨が耐えきれず、手首(橈骨)や背骨(椎体)、股関節(大腿骨頚部)、骨盤などの重度の骨折をしてしまう可能性が非常に高いのです。
高齢者の方は特に、視力や平衡感覚、筋力の低下などから転倒しやすいため、交通事故だけでなく、家の中での転倒にも注意が必要です。

万が一、交通事故に遭ってしまった場合、見た目に大した怪我がなくても、体の中では深刻な骨折が起きている可能性があります。骨粗鬆症の方は、どんなに小さな事故でも、必ず専門の整形外科医による診察を受けることがご自身の体を守るために大切です。

骨粗鬆症は継続的な治療と予防が大切です

ここまで、骨粗鬆症に関する様々な疑問にお答えしてきましたが、何よりもお伝えしたいのは「骨粗鬆症は、適切な治療と生活習慣の改善によって、骨折を防ぎ、健康な生活を維持できる病気」だということです。

「もしかして」と感じたら、まずは骨密度検査を受けてみることが第一歩です。
当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルや背景を丁寧に伺い、骨密度や骨代謝マーカーの数値だけでなく、総合的な視点から最適な治療プランをご提案しています。
お薬や食事、運動について、分からないことがあれば何でもお気軽にご相談ください。  

おわりに:皆さまへのメッセージと当院のご案内

骨粗鬆症は、早期に発見し、適切なケアを始めることで、骨折による寝たきりや介護のリスクを大きく減らすことができます。

当院は、地域の皆様の健康を支えるパートナーとして、どんな些細な疑問や不安にも寄り添い、親身になってお話をお聞きしています。
骨の健康について気になることがあれば、どうぞお一人で悩まずに、お気軽にご来院ください。

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ではまた!

執筆者

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執筆者

上田 英範

うえだ整形外科クリニック 院長

2021年、愛知県西尾市にうえだ整形外科クリニックを開院しました。
地域社会に貢献するため、医師として患者さんに信頼していただける医療を心がけております。

経歴
金沢医科大学卒/名古屋医療センター研修医/聖霊病院整形外科勤務/なかざわ記念クリニック整形外科勤務
保有資格
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会リウマチ医/日本整形外科学会スポーツ医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
所属学会
日本整形外科学会/日本リウマチ学会/日本骨粗鬆症学会/日本整形外科超音波学会/日本リハビリテーション医学会/日本整形内科学研究会