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私のハイドロリリースに対する考え(私見)

医療

こんにちは!
西尾市一色町に令和3年8月に新規開院予定のうえだ整形外科クリニック 院長 上田英範(ひでのり)です。

超音波(エコー)診療に重点を置いているのであれば、ハイドロリリースに対する知見もあるのではないかと思われる方もいらっしゃるのではないかと思います。
本日は近年整形外科の領域でトピックスとなっているハイドロリリースに関する私見を述べたいと思います。

エコーガイド下Fascia ハイドロリリース(fasciaに対するエコーガイド下ハイドロリリース)とは、超音波診断装置(エコー)を用いて、fasciaを生理食塩水等の薬液でリリース(剥離separation+弛緩relaxation:エコー画像上では“白く厚い帯状のfascia”をバラバラにするように薬液を注入)し、鎮痛効果に加えてfasciaの柔軟性(伸張性・滑走性)の改善を期待する手技とされております。
一般社団法人 日本整形内科学研究会ホームページより抜粋)

私は約5年間西尾市の診療所で勤務する傍ら、週末には名古屋市名東区でハイドロリリースを専門的に行うさいとう整形外科リウマチ科に非常勤医師として勤務し、研鑽を積み、その技術を自身の勤務するクリニックでも実践してきました。
私のハイドロリリースの経験(決して長くはないですが)で得た結論は次のようなものです。
「ハイドロリリースは、決して万能な方法ではない。筋膜性疼痛症候群(MPS)MPSとは 一般社団法人 整形内科学研究会ではない人に施術しても意味はない」とうことです。

例えば、腰痛の原因にも色々なものがあります。
椎間板性腰痛、椎間関節性腰痛、腰椎椎間板ヘルニアなどによる神経障害性疼痛、仙腸関節障害、筋膜性疼痛などです。
このような腰痛の原因となる異常を問診、身体所見、画像所見などから見極めて、その上でMPSが絡んでいると判断できた場合にのみハイドロリリースが有効となります。

ハイドロリリースの大家であるさいとう整形外科リウマチ科 斉藤究先生のハイドロリリースに関するブログの中にも記載されているように、筋硬結・圧痛を見つけて、その部位にハイドロリリースを施行することが最も効果があります。

椎間板性腰痛、椎間関節性腰痛でハムストリング・大腿直筋・肩甲帯の明らかな筋硬結・圧痛があれば、患部外にハイドロリリースを施行することで即時的には難しいかもしれませんが効果を期待することも可能です。(MRIで明らかな終板変性とそれに伴う炎症所見があれば、薬物治療も必要になります)
明らかに脊柱起立筋の骨盤付着部に圧痛があれば、ハイドロリリースで即時効果を得ることも可能でしょう。

最も効果が得られにくいのは、MRIで明らかな神経の狭窄があり、下肢の神経障害が出ている場合です。
この場合は、むしろ仙骨硬膜外ブロック・神経根ブロックなどのブロックの方が疼痛除去としては有効で、クリニックで主に行っていくこととしてはリハビリや薬物療法が主体になるのではないかと思います。
そして、このような治療で改善しない場合は手術もおすすめせざるを得ないということになります。

まとめると、私の意見としては、患者さんの疼痛の原因がMPSにあればハイドロリリースの適応、それ以外の炎症・
神経障害性疼痛にあれば除外
ということになります。(至極当たり前で申し訳ありませんが…)
大切なのは、患者さんの疼痛の原因がどこにあるのかを確実に診断する能力ということになります。

そして、令和3年8月に新規開院するうえだ整形外科クリニックでハイドロリリースを積極的に行っていくかどうかですが、私はホームページなどで積極的にハイドロリリースを行っていることをPRするのはやめておこうと思っています。
先日のブログでも書きましたが、私が目標にするのは、あくまでも患者さん自身が運動療法により成功体験を積み重ねて自分で疼痛を除去する方法を学んでいくことです。
注射をすることによって患者さんがそれに頼りきってしまうのではないか、注射だけやってリハビリを行わず原因が放置されたまま注射に頼ってしまうのではないかというのを懸念しております。

あくまでもリハビリが主体、奥の手として自分の中ではハイドロリリースを持っている、そのような状態が望ましいのではないかと思っています。
もちろん、ハイドロリリース希望で来られた患者さんには対応しますので、教えていただければと思います。

写真はつい最近さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究先生が出版された書籍です。
全て読ませていただきましたが、斉藤先生の見識の深さにはいつも脱帽させられます。

では、また!

うえだ整形外科クリニック 医師 上田英範