【整形外科医が解説】正しいスクワットで膝の痛みを予防する秘訣

こんにちは!西尾市一色町の整形外科クリニック うえだ整形外科クリニック 院長 上田英範です。
スクワットは、立つ、座る、階段昇降といった日常生活動作(ADL)に直結する筋肉を鍛える「筋トレの王様」です。
しかし、誤ったフォームは膝関節に過剰な負担をかけ、かえって痛みを引き起こします。
西尾市にお住まいの皆様が長く活動的な生活を送るために、膝の健康は非常に重要です。
本日は、整形外科医として、なぜ膝が痛くなるのか、そして痛みを予防し、効果を最大化するための「正しいフォーム」について、医学的根拠に基づき解説いたします。
スクワットが膝の健康に欠かせない理由と、潜む「落とし穴」
スクワットは、大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋群という下半身の主要な筋肉を同時に鍛え、日常生活に必要な動作能力の維持・向上に最良の手段です。
一方で、間違ったフォームは膝関節に不必要なせん断力や圧迫力を集中させ、炎症を悪化させる可能性があります。
痛みの原因は単なる筋力不足ではなく、動作パターンの誤り、つまり「フォームの欠陥」にあるケースがほとんどです。
トレーニングでは、負荷や回数よりも「フォームの正確性」を最優先する必要があります 。
膝の痛みを引き起こす3大NG動作の正体
膝の痛みを訴える方には、下半身の連動性が破綻したエラーが見られます。
私たちは、痛みの原因を「アライメント」「柔軟性」「制御」の三つの側面から捉えます。
膝の負担を大きくする主要な3つのNG動作は、「ニーイン(膝が内側に入る)」「足首の硬さによる可動域制限」「立ち上がりでの膝のロックアウト(伸ばしきり)」です。
これらの動作エラーは、結果として膝の軟部組織や関節面に不均一なストレスを与え、痛みへと繋がります。
NG動作①「ニーイン」の危険性と修正の鉄則
スクワット中の最も代表的なNG動作が「ニーイン(Knee-in)」です。
膝が足の甲よりも内側に入ると、膝関節の正常な動きが妨げられ、特定の部分に圧迫力やねじれが集中し、痛みの原因となります 。ニーインの真の原因は、膝ではなく、股関節の外側にある殿筋群(お尻の筋肉)の筋力不足や、太ももの内側の内転筋の過緊張にあることがほとんどです。
これを防ぐ鉄則は、「しゃがむ時も立ち上がる時も、つま先と膝が常に同じ方向を向くように意識する」ことです。
これは股関節周囲の筋肉を意識的に使うことが必須となります。
NG動作②「足首の硬さ」とNG動作③「膝のロックアウト」
膝の痛みの原因として見落とされがちなのが「足首の硬さ」です。
足首の可動域が制限されていると、体はバランスを取るために膝を前方に過度に突き出し、膝のお皿(膝蓋骨)周りに大きな剪断力が発生し、膝前面の痛みのリスクが高まります 。
もう一つのNG動作は、立ち上がる際に膝を完全に伸ばしきる「ロックアウト」です。これにより筋肉の張力が緩み、負荷が靭帯や関節包といった受動的な構造物に集中してしまいます。
関節を保護し、トレーニング効果を最大化するためには、立ち上がりきる直前で動作を止め、筋肉に絶えず張力(Tension)をかけ続けることが重要です 。
膝に負担をかけない!体力に合わせた「正しい深さ」を知る
スクワットを行う際、深くしゃがむほど大きな筋力の発揮が求められますが、同時に膝関節への負担も増大します。
理学療法的な指導の原則は、まずフォームの正確性が確保された上で、徐々に深さを増していくことです。
特に初めて筋力トレーニングを行う方や、現在膝に不安を抱えている方は、無理のない範囲の浅いスクワットから始めるべきです 。
膝に負担をかけないスクワットとして、膝を軽く曲げるクォータースクワット(約45度程度)は最も負荷が低く、初めての方やリハビリ中の方に推奨されます。
次に、膝が直角程度に曲がるハーフスクワット(約90度)は中程度の負担で、運動習慣のある一般的な健康維持に適しています。
一方、太ももが床と並行になるパラレルスクワットはやや負担が高く、筋力向上を目指す中級者以上向けとなります。
大切なのは「深く」ではなく、「痛みなく、正しくしゃがむ」ことです。現在の体力レベルに合った深さを選ぶようにしましょう。
可動域を制限することで、傷害リスクを最小限に抑えながら筋力強化を進めることができます。
正しいフォームを支える!股関節とお尻の準備運動
ニーインを防ぎ、膝への負担を減らすには、膝ではなく股関節周りのコンディションを整えることが必須です。
股関節周囲の柔軟性が低いと、しゃがむ際に骨盤が不安定になり、正しい姿勢が取れません。
ニーインの一因である内転筋の過緊張解消には、床で膝を左右に開く「カエルポーズ」で、太ももの内側を30秒間伸ばしましょう。
また、スクワットの主動力であるお尻の筋肉(大臀筋)を活性化させるためのウォーミングアップとして、仰向けに寝て、腰を反らさないように身体が一直線になるまでお尻を持ち上げる「お尻上げ運動」が有効です。
負荷を持たない状態で、ハムストリングスの緊張とお尻の働きを確認する「基礎練習」が重要です。
【西尾市の皆様へ】痛みは我慢せず、専門家の動作分析を
膝に違和感や痛みがある状態で無理に運動を続けると、症状を悪化させる最も危険な行為です。
大切なのは「痛いからやめる」だけでなく、「なぜ痛いのか」という根本原因を理解することです。
西尾市一色町にある当クリニックでは、整形外科医による正確な診断に加え、理学療法士が皆様のスクワットフォームを詳細に動作分析いたします。
膝の内側への入り込みや、体幹のバランスなど、動作の癖や痛みの出る瞬間を特定します。
私たちは、皆様の身体の土台を支え、適切な運動指導とリハビリテーションを通じて、健康で快適な毎日を応援します。
痛みを感じたら、自己流で我慢せず、専門家にご相談ください。
運動習慣を日常生活に取り入れることも重要です。
ではまた!
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執筆者

執筆者
うえだ整形外科クリニック 院長
2021年、愛知県西尾市にうえだ整形外科クリニックを開院しました。
地域社会に貢献するため、医師として患者さんに信頼していただける医療を心がけております。
- 経歴
- 金沢医科大学卒/名古屋医療センター研修医/聖霊病院整形外科勤務/なかざわ記念クリニック整形外科勤務
- 保有資格
- 日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会リウマチ医/日本整形外科学会スポーツ医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
- 所属学会
- 日本整形外科学会/日本リウマチ学会/日本骨粗鬆症学会/日本整形外科超音波学会/日本リハビリテーション医学会/日本整形内科学研究会