骨粗鬆症治療に関して②
こんにちは!
西尾市一色町に令和3年8月4日に新規開院予定のうえだ整形外科クリニック 院長 上田英範(ひでのり)です。
本日は、前回のブログの骨粗鬆症シリーズの続きになります。
まだ前回のブログを読んでいない方は下記リンクから前回のブログを読んでから今回の記事を読んでいただければと思います。
昨日のブログ 骨粗鬆症治療について①
今回は骨粗鬆症治療における採血の重要性からお話します。
私は骨粗鬆症治療を開始する前に採血を取るようにしております。
これには理由がいくつかありますが、これも全部説明するとややこしくなりそうなので、かいつまんで説明します。
主に2つの理由があります。
①骨代謝マーカーを測定するため
②血液中のビタミンDの濃度を測定するため
①骨代謝マーカーを測定するために関して説明します。
骨も新陳代謝しており、壊れてはその分作られてを繰り返しております。
骨が壊れる部分を測定したものを骨吸収マーカー、骨が作られる部分を測定したものを骨形成マーカーといいます。
この2つを測定することで、骨がどのような状態にあるのかを推測することができます。
いずれの数字も高い場合は高回転型といい、骨が壊れるのを防ぐ薬(骨吸収抑制薬)を使用することを検討します。
また、いずれの数字も低い場合は低回転型といい、骨を作る薬(骨形成促進薬)を使用することを検討します。
(骨吸収抑制薬、骨形成促進薬に関しては、後日説明します)
このように骨代謝マーカーを測定する意義としては、使用する薬を選ぶ際の手がかりになるということがあります。
また、薬によっては薬が効いているかを判定する指標にもなります。
②血液中のビタミンDの濃度を測定するために関してですが、ビタミンDが体の中で不足すると腸管からのカルシウムの吸収が減って、骨に行くカルシウムの量も減ってしまい骨粗鬆症になっていきます。
高齢の日本人は多くの方がビタミンD不足と言われております。
この数字が低い方は、ビタミンDの補充を検討することになります。
さて、骨粗鬆症の治療に関してです。
骨粗鬆症の治療には、運動療法、食事療法、薬物療法等があります。
よく患者さんから「食事だけでなんとかなりませんか?」ということを聞かれますが、正直言ってなかなか難しいです。
運動療法、食事療法、薬物療法3つの合せ技で治療するのが良いであろうと思います。
そして、「いつまで治療を続ければ良いの?」ということもよく聞かれますが、ガイドラインには骨密度が70%を超えるまであるいは5~6年と書いてあるのですが、私個人はずっと続ける!くらいの気持ちでいてほしいとよく説明します。
そのくらいのモチベーションを持っていた方が治療がうまくいきやすいです。
それぞれの治療法に関して説明します。
まず運動療法ですが、後述する転倒予防ともリンクする部分ですので、後日説明させていただきます。
食事療法に関してですが、カルシウムだけでなく、ビタミンD、タンパク質を十分に摂取することが大切です。
カルシウムは、1日700~800mg摂取することが推奨されております。
下記のURLから各食品に含まれるカルシウムの量を参考にしてみてください。
Re-Bone.jp 旭化成ファーマ株式会社様
ビタミンDに関しては、1日10~20μgの接種が推奨されております。
下記のURLから各食品に含まれるビタミンDの量を参考にしてみてください。
ビタミンDを多く含む食品 骨粗鬆症財団様
また、ビタミンDは食べるだけでは使える形になっていないため、日光浴が必要です。
夏場は1日15分程度、冬場は1~2時間程度肌のどこでも良いので、日光に当てる必要があります。(日焼け止めはNGです。)
また、タンパク質に関しては、体重(kg)×1gのタンパク質を1日に摂取するのが良いと思います。
例えば、体重40kgの人なら、タンパク質1日40gを目標にしてみてください。
今回はかなり長くなってしまいました。
続きはまた明日にさせていただき、薬物治療、転倒予防に関してお話ししていきたいと思います。
では、また!
うえだ整形外科クリニック 医師 上田英範
執筆者
執筆者
うえだ整形外科クリニック 院長
2021年、愛知県西尾市にうえだ整形外科クリニックを開院しました。
地域社会に貢献するため、医師として患者さんに信頼していただける医療を心がけております。
- 経歴
- 金沢医科大学卒/名古屋医療センター研修医/聖霊病院整形外科勤務/なかざわ記念クリニック整形外科勤務
- 保有資格
- 日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会リウマチ医/日本整形外科学会スポーツ医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
- 所属学会
- 日本整形外科学会/日本リウマチ学会/日本骨粗鬆症学会/日本整形外科超音波学会/日本リハビリテーション医学会/日本整形内科学研究会