集束型体外衝撃波

体外衝撃波治療とは

体外衝撃波治療とは、体の外から衝撃波を当てることで痛みをとる新しい治療法です。
元々腎結石の治療に用いられていたものでしたが、整形外科領域でも使用できることがわかってきました。
体外衝撃波を照射することにより、痛みを抑え、組織を再生する作用を示します。
長引く筋肉、腱の痛みに有用であるだけでなく、骨折や靭帯損傷などの外傷にも効果が期待できます。
また、身体へのリスクが少ないのも特徴です。
集束型と拡散型
体外衝撃波には2種類があります。
集束型体外衝撃波と拡散型圧力波です。
特におすすめなのは集束型体外衝撃波です。

集束型と拡散型の特徴を示します。
集束型体外衝撃波
・狭い範囲に深く届く
・腱や骨に特に効果あり
・治療時に痛みがあるが、効果は高い
拡散型圧力波
・広い範囲に浅く届く
・筋肉や腱に効果あり
・治療時に軽い痛みがある
体外衝撃波のメリット、デメリット
体外衝撃波のメリット
・1回の治療時間は約8分間
・手術ではなく、体への負担は少ない
・外来通院で治療可能
・副作用が非常に少ない
・傷跡が残ることがない
体外衝撃波のデメリット
基本的にデメリットは非常に少ないです。
・複数回の治療が必要
・一時的な痛みや皮膚の赤みが出ることがある
・集束型体外衝撃波は自費診療のため、保険適応にならない(難治性足底腱膜炎を除く)
適応疾患
集束型、拡散型で適応となる疾患
・石灰沈着性腱板炎
・足底腱膜炎
・上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
・アキレス腱障害
・膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)

特に集束型で適応となる疾患
・偽関節(骨折後骨がくっつかない状態)
・野球肘内側障害(骨端線が閉鎖している方)
・肘離断性骨軟骨炎
・疲労骨折
・ばね指
・シンスプリント
特に拡散型で適応となる疾患
・肩関節拘縮(五十肩等)
・下肢関節拘縮
・骨端症(オスグッド病、シーバー病)
禁忌
このような方は治療を行えません
・妊娠、胎児
・悪性腫瘍への直接照射
・高エネルギーの集束型の照射の場合、以下の方や部位には照射できません
成長軟骨板への直接照射
重篤な凝固障害(血友病など)
急性期の感染(慢性感染は除く)
肺への直性照射
脳・神経への直接照射
治療の回数と頻度
・通常1〜2週間に1回の頻度で3〜5回程度を目安に行います。
・症状や効果に応じて治療の頻度や回数を調整することがあります。
・拡散型圧力波はリハビリの中で継続的に行うことが可能です。集束型体外衝撃波と同様、1〜2週間に1回の頻度で行います。
費用
拡散型圧力波
リハビリの一環として、保険診療内で行います。
集束型体外衝撃波
自費診療となります。
1部位1回8,800円(税込)となります。
1回で他部位への照射は承れませんので、ご了承ください。
難治性足底腱膜炎について
集束型体外衝撃波は、「6ヶ月以上改善がない難治性足底腱膜炎」のみ保険診療となります。
一連の体外衝撃波治療で5,000点(3割負担で15,000円)となります。
集束型体外衝撃波治療の流れ
Step1:診察・予約
通常の保険診療でご受診いただきます。
診察、検査(レントゲン、超音波、MRI等)を行います。
集束型体外衝撃波治療の適応があるかを確認します。
適応があれば、同意書をいただいた上で、集束型体外衝撃波治療の予約を行います。
照射部位を超音波を見ながらマーキングします。
※集束型体外衝撃波治療は予約制となります。

Step2:治療当日
予約をいただいた日にお越しいただきます。
事前に超音波でマーキングした部位に照射を行います。
低エネルギーから開始し、少しずつ強さを上げていきます。
痛みが我慢できる最も高いエネルギーで照射を行います。
所要時間は約8分間です。

Step3:次回の予約取得
治療終了後に1~2週間語を目安に次回の集束型体外衝撃波治療の予約取得を行います。
集束型体外衝撃波治療は合計3~5回行います。
集束型体外衝撃波治療の注意点
・治療中、治療後に一時的に痛みが強く出ることがあります。
・治療部位に一時的に赤みが出ることがあります。
・治療部位に一時的に皮下出血が起こることがあります。
・日本では、保険診療と自費診療を同じ日に行うことは禁止されております。薬の処方、注射、別の部位の診察をご希望の場合は、集束型体外衝撃波を実施する日とは別の日にご来院ください。
ご相談・ご予約について
体外衝撃波治療は、すべての痛みに適応となるわけではありません。
まずは医師が診察し、治療の適応となるかを判断します。
気になる症状がある方は、ぜひ一度ご受診をお願いいたします。
文責 上田 英範
(日本整形外科学会整形外科専門医)
