診療案内

MEDICAL

腰が痛い

腰痛とは

腰痛の原因

腰痛の原因となる構造物は様々あります。
椎体という背骨自体、椎間板、背骨と背骨のつなぎ目の椎間関節、腰を支える筋肉などです。
そのうちのどこかが腰痛の原因となっている可能性があります。

腰痛の症状

言うまでもなく腰が痛いのですが、実際にどこの部分を押すと痛いのか、前かがみで痛んだり、後ろにそらすと痛んだりなどその症状により痛みの原因がどこにあるのかを推測することができます。

椎間板 前に倒して痛みが出る場合、椎間関節 後ろにそらしてから左右に曲げて痛みが出る場合

危険な腰痛

発熱、長期間改善しない腰痛、足のしびれや筋力低下、尿や便が出せない、癌の既往などがあるときは危険な腰痛の可能性がありますので、早めに受診してください。

腰痛の診断

まずは診察を行うことにより、腰痛の原因がどこにあるのかを推測します。
その上でレントゲン検査を行います。
レントゲン検査で異常がはっきりしない場合や必要性があると判断した場合はMRIやCTなどの検査を行います。

腰痛の治療

痛み止めや外用薬などの薬物治療を行います。
また、腰痛で重要なのは運動療法を中心としたリハビリです。
腰痛の部位がどこにあるのかを確認できたら、それに応じたリハビリを行います。
腰が悪くなった原因が、下半身の硬さであったり、胸郭(胸の部分)や肩甲帯(肩甲骨の周辺)の硬さにあることが多々あります。
そのため、腰部分のリハビリだけではなく、下半身の筋力強化やストレッチング、肩甲帯のストレッチング、体幹筋の筋力強化などが必要になります。
症状が強い方やレントゲンなど画像検査でかなり進行している方は、手術治療を検討する場合があります。

リハビリの様子

変形性脊椎症

変形性脊椎症とは

変形性脊椎症は、背骨(脊椎)が変形して腰痛や足のしびれを引き起こす病気です。
加齢や肉体労働などの体への負荷によって、背骨や関節が少しずつ変形し症状が出現します。

変形性脊椎症の症状

腰の痛みや足のしびれ、腰の動きの制限などが主な症状です。
長時間同じ姿勢でいると痛みが強くなったり、動作のし始めに痛みが強いことがあります。
また、腰の神経の圧迫を伴う場合、足のしびれや痛みが現れることもあります。

変形性脊椎症の原因

変形性脊椎症の主な原因は、加齢による背骨の変形により起こります。
時に肉体労働などの環境要因が原因となるときもあります。

変形性脊椎症の診断

まずは、患者さんの姿勢の状態や症状から疑います。
その上で、レントゲン検査を行い、背骨の構造の変化を確認することで診断します。
状況により、MRIやCTなどの検査を行うこともあります。

変形性脊椎症の治療

腰痛や足のしびれに対して薬物治療を行います。
また、運動療法などのリハビリを行うことで症状の緩和が期待できます。
症状が強い場合、必要に応じて手術が検討されることもありますが、まずは手術をしない方法から治療を開始して、症状が改善するかどうかを見極めることが大切です。

腰椎圧迫骨折

腰椎圧迫骨折とは

背骨が上下の骨に挟まれて骨折を起こした状態です。
骨粗鬆症、高所転落などの外傷が原因で発症します。

腰椎圧迫骨折の症状

腰部や背中の痛み、動作の制限、特に体の前屈が難しくなることがあります。
また、折れた骨が神経を圧迫することで、足先へのしびれや筋力低下が生じることがあります。(この場合は、破裂骨折といいます)

腰椎圧迫骨折の原因

加齢により骨がもろくなったり(骨粗鬆症)、外傷(高所転落、事故など)により起こります。
骨がもろくなることで、尻もちや物を持ち上げる動作でも骨折しやすくなります。
→診療案内「背骨が曲がってきた(骨粗鬆症」の項目もご参照ください。

腰椎圧迫骨折の診断

ご高齢の方の尻もちなどのエピソードや若い方でも高所転落のエピソードがあった場合は疑います。
レントゲン検査を行い、圧迫により潰れた背骨を確認します。
状況によりレントゲンで確定できない場合があり、その場合はMRIの撮影を行います。
MRIを撮影すれば、ほぼ確定できます。

腰椎圧迫骨折の治療

骨折の初期は痛みが強いため、内服や外用の処方を行います。
同時にコルセットの装着を行います。
コルセットは腰の安静を得て、背骨がそれ以上潰れていかないようにするために非常に大切です。
コルセットの着用は約3ヶ月間行います。
まれに、痛みや潰れが強い場合は、手術を検討する場合があります。

腰椎椎間板症

腰椎椎間板症とは

腰の骨と骨の間にありクッションの役割を果たす椎間板が傷んで症状が出現します。
椎間板が変形して腰痛が生じたり、腰の神経を圧迫することがあります。

腰椎椎間板症の症状

腰痛により長時間同じ姿勢を保つことが難しくなったり、特定の動作(特に前かがみ)で痛みを引き起こすことがあります。
腰やお尻、足に痛みやしびれが現れることがあります。
この場合は、腰椎椎間板ヘルニアの発症を疑います。
→腰椎椎間板ヘルニアに関しては、診療案内「足がしびれる」もご参照ください

腰椎椎間板症の原因

猫背などの悪い姿勢は原因として特に多いです。
猫背の状態が長く続くと、骨と骨の間の椎間板に圧迫される力が加わり続け、傷んできます。
過度な肉体労働激しいスポーツも原因となることがあります。
また、加齢も原因となります。

腰椎椎間板症の診断

傷んでいる椎間板付近の高さの腰骨を圧迫すると痛みが出ることがありますが、押してもはっきりとした痛みがないことも多々あります。
体の動き、特に前かがみで痛みが出ることが多いです。
レントゲン検査にて、椎間板があるはずの骨の間の隙間が狭くなっていたら疑います。
確定診断のためにはMRIが必要となります。

腰椎椎間板症の治療

痛みを和らげるために内服や外用の処方を行います。
また、運動療法を中心としたリハビリは非常に重要です。
不良姿勢が原因となっている場合は、姿勢指導を行います。
また、体の中心部分(体幹)の筋力強化や体の柔軟性獲得などのリハビリにより腰痛を出にくくします。
症状の緩和が得られない場合は、手術を検討することもあります。

腰椎椎間板ヘルニア

診療案内「足がしびれる」をご参照ください。

腰部脊柱管狭窄症

診療案内「足がしびれる」をご参照ください。

腰椎分離症

文責 上田 英範
(日本整形外科学会整形外科専門医)

院長 上田 英範