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MEDICAL

肩が痛い
肩が痛い

腱板断裂

腱板断裂とは

肩の関節は4つの筋肉で支えられており、それらを総称して腱板といいます。
その筋肉が加齢や外傷などにより傷つくことにより症状が出ます。

腱板断裂の症状

安静時・運動時の疼痛肩の動く範囲の制限(加齢が原因の場合は制限がないこともあります)、動かしたときにゴリゴリする感じなどがあります。

腱板断裂の原因

加齢によりすり減りいつの間にか切れている場合、転んだ際に手をついたり、ぶつけたり、後ろのものを取ろうとして痛めたりといった外傷による場合があります。

腱板断裂の診断

問診・診察により疑います。
腱板はレントゲンでは写らないため、超音波(エコー)検査やMRIにより行います。

腱板断裂の治療

①保存治療

手術をしない治療になります。
70歳以上のご高齢の方は保存治療が中心となることが多いです。
内服薬、湿布にて強い痛みを抑えます。
痛みが強い方は、肩の関節の中に局所麻酔とステロイドという薬を混ぜて打つこともあります。
その上でリハビリを行います。
リハビリは残っている腱板やその他の筋肉をうまく使えるようにする、残っている腱板に硬さが出てしまうことがあるのでそれを改善するということを目的にします。

②手術治療

若い方、保存治療で症状が治まらない方は手術になる可能性があります。
当院では手術を行っておりませんので、お近くの病院にご紹介致します。

四十肩・五十肩

四十肩・五十肩とは

四十肩・五十肩というのは、医学的な病名ではありません。
医学的には肩関節周囲炎という病名になりますが、この病名は非常に混乱をあたえやすい病名であるため、ここではあえて四十肩・五十肩という病名を用いてご説明致します。
四十肩・五十肩とは、40代、50代、60代前半くらいまでの方に、肩の痛み、肩の動きの制限が起こってくる病気です。
40~50代での肩の痛みで四十肩・五十肩ということをよく聞きますが、厳密には違います
四十肩・五十肩は単に痛いだけではなく、その後肩の動きの制限が起こってくるのが典型的です。
また、70歳以上の方は四十肩・五十肩ではなく、前項の腱板断裂のような他の病気を考えたほうが良いです。

四十肩・五十肩の症状

夜間を中心とする肩の痛み、肩が固まって動かないという症状が主体になります。

四十肩・五十肩は病気の流れが決まっております。

①炎症期

まずは肩が痛い時期が来ます。
特に何もしていないのに肩が痛いという症状が起こります。

②拘縮期

その後肩が固まって動かない時期が来ます。
痛みは持続する場合があります。
手が後ろに回らず、女性の場合はブラジャーのホックが閉められないなどの症状が出ます。
また、夜間寝ているときに痛いのも特徴です。

③寛解期

最後に固まっている肩が少しずつ動いてくるようになります。
この時期に入ると痛みもかなり和らいできます。
最終的には症状を残さず治癒します。

四十肩・五十肩は①→②→③の流れで病状が推移しますが、最初に症状が出てから治るまでに1年から3年かかると言われます。

四十肩・五十肩の原因

原因は不明です。
なぜ40~50代なのか、なぜ固まって来るのか、いずれもわかっておりません。
ただ、肩の中でどのような変化が起こっているのかはわかっております。
肩の周辺には関節包という袋があり、その袋が分厚くなって固まるという変化が起こります。
それに伴って、周辺の肩の筋肉まで動きが悪くなってしまいます。

四十肩・五十肩の診断

40~50代で肩が固まって動かないという特徴的な病歴・身体所見から診断します。
レントゲン、超音波(エコー)検査、MRI等を行いますが、画像上は何も異常がないことが多いです。
多少の炎症所見や腱板の変性は見られることはありますが、この病気に特徴的な所見はありません。
そのためすぐに診断がつかず、しばらく経過を見させていただくこともあります。

四十肩・五十肩の治療

原因がわかっていない疾患のため、確立された治療法がないのが現実です。
様々な治療を組み合わせて行います。

①内服・湿布

強い痛みを抑えるために行います。
選択する薬は、消炎鎮痛薬の他にトラマドールという薬を使用することもあります。

②リハビリ

最も大切と思っている治療法です。
肩が固まって動かせる範囲の制限が出るため、リハビリが必要です。
ただし、無理やり動かすのではなく、愛護的に行います。

③注射

肩の関節の中に、局所麻酔薬とステロイドを混ぜたものやヒアルロン酸を注射します。
痛みが強い人に対して行うことが多いですが、効果はまちまちです。

上記のような治療法を組み合わせて、痛みのコントロール、肩の動く範囲を広げていく訓練を行います。

このような治療を行っても、痛みが改善しない、肩の動く範囲が広がらないという場合は、手術を選択することがありますが、非常にまれです。
当院では手術は行っておりませんので、他の病院に紹介します。

石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎とは

カルシウムの結晶が腱板という肩を支える筋肉の内部に沈着して、炎症を起こし、激烈な痛みを起こす疾患です。

石灰沈着性腱板炎の症状

突然発症する激烈な肩の痛みが多いです。
ほとんど肩を動かせないほどの激痛となることがあります。

石灰沈着性腱板炎の原因

カルシウムの結晶が腱板という筋肉の内部に沈着し、炎症を引き起こします。
なぜ結晶が沈着するのか、どのような人に起こるのかはわかっておりません。

石灰沈着性腱板炎の診断

中年以降の方に突然肩が動かせないほどの激痛が起こった場合には疑います。
カルシウムの結晶がある部位に明らかな圧痛があることを特徴です。
レントゲンでカルシウムの結晶が映ればほぼ確定ですが、まれに骨と重なってカルシウムの結晶が判別できないことがあります。
その場合は、超音波(エコー)検査を行い、カルシウムの結晶とその周辺の炎症の所見が確認できれば確定です。

石灰沈着性腱板炎の治療

痛み止め、湿布でも時間はかかりますが、痛みは治まる事が多いです。
しかし、多くの場合は激烈な痛みがあるため、局所麻酔薬とステロイドを混ぜたものをカルシウムの結晶の周辺に注射することで早期に痛みが和らぎます。
カルシウムの結晶が残存するため、まれに再発することもあります。

文責 上田 英範
(日本整形外科学会整形外科専門医)

院長 上田 英範