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野球などの投球障害について ②いわゆる野球肘

医療

こんにちは!
西尾市一色町に令和3年8月4日に新規開院予定のうえだ整形外科クリニック 院長 上田英範(ひでのり)です。

本日は投球障害に関する説明の続きです。
日本整形外科学会 野球肘

本日は、いわゆる野球肘(内側型野球肘)に関して説明します。

投球時には必ず肘の内側には引っ張られる力が加わります。
投げすぎ、体が硬い、投球フォームが悪いなどの影響で、上記の力が強くなることによって発生します。
大人の場合はこれが肘の内側側副靭帯断裂という形で現れてきます。
しかし、骨が未発達のお子さんの場合は、内側側副靱帯がくっついている骨が引っ張られて、骨端線(いわゆる成長線)の損傷・骨の分節化(割れてしまう)という症状が起こってきます。

症状としては、肘の内側の痛みが多いです。
炎症が強い人は、肘の曲げ伸ばしの制限が出ることがあります。

診断としては、レントゲン検査で、骨端線という部分の離開(距離が離れていること)や骨が割れている所見が見られます。
また、ここでも超音波(エコー)が診断に役立ちます。

治療としては、昨日お話した離断性骨軟骨炎とは異なり、手術を要することはありません。
多くの場合は、4週間程度の投球中止の後、体の硬さをストレッチングで改善することから開始し、投球フォームチェック→キャッチボール→ピッチングと段階的にリハビリを進めていくことで約3ヶ月程度で完全復帰が可能です。
ただ、成長期の体が変わっていく時期におこる病気であることもあり、再発も多いため、リハビリ卒業後もストレッチングをしっかり行って頂く必要があります。

投球動作というのは下半身から始まり、その力を上半身に伝えて行く一連の動作です。
下半身の硬さがあると上半身に力をうまく伝えることができません。
体が硬いお子さんが強い球を投げようとすると、下半身からの力をうまく上半身に伝えられなかった分を肘や肩で代償しようとするため、肘や肩に大きな負担がかかることになります。

投球障害の患者さんは下半身が硬かったり、姿勢が悪かったりすることが原因のことが多いです。
そのため、私がリハビリでストレッチングという時は、肘や肩だけでなく、足首、太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)、股関節、背骨(胸椎)、肩周辺(肩甲帯)全て含んでいます。

リハビリ開始当初は痛みの部位である肘や肩を触らないことが多いと思いますが、これが理由ですので不審に思わないでくださいね。

予後は非常に良好です。
何も症状なく治る場合が多いですが、前述の通り再発もありますので、ストレッチングはしっかり行ってほしいと思います。

トップ画像は、投球障害のリハビリで使用するマウンド造設部です。
西尾市で投球障害専用のマウンドを作ってしまおうというクリニックは当院だけだと思います。
明日は肩の障害に関してお話したいと思います。

では、また!

うえだ整形外科クリニック 医師 上田英範