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笑福亭笑瓶さんが罹患した大動脈解離(解離性大動脈瘤)に関して

医療

こんにちは!
西尾市一色町の整形外科クリニック うえだ整形外科クリニック 院長 上田英範です。

本日ニュースを見ていたところ、以下のようなニュースが飛び込んできました。
落語家の笑福亭笑瓶さん死去 急性大動脈解離 66歳
突然のことで驚きました。
笑福亭笑瓶さんのご冥福を祈りいたします。

今回の笑瓶さんの死因は定かではないようですが、過去に大動脈解離に罹患したことがあるようです。
大動脈解離は専門分野としては血管外科の分野になりますが、整形外科に受診されることもある疾患ですので、門外漢ではありますがまとめてみたいと思います。

大動脈解離と解離性大動脈瘤に関して
呼び名が異なるだけで同じ病気です。
このブログでは、これ以下は大動脈解離で統一したいと思います。

大動脈解離とは
心臓から出ていく大きな動脈である大動脈が何らかの原因で裂ける病気です。
血管の壁は内側から内膜、中膜、外膜となっていて、一番内側の内膜が裂けてしまうことにより起こります。

大動脈解離の原因
高血圧、高脂血症、糖尿病、動脈硬化などが原因となります。
特殊な原因で、Marfan症候群という結合組織が弱くなる疾患も原因となる可能性があります。

大動脈解離の症状
背中や胸の激痛で発症することが多いです。
まれに腰痛で発症する場合があり、その際に整形外科へ受診される可能性があります。
特に痛みが移動する場合は要注意と言われております。
痛みが移動する原因は、血管が裂ける部分が広がっているためです。
また、裂ける部分が広がっていくことで上記以外にも様々な症状を引き起こす可能性があります。

大動脈解離の検査
胸部レントゲン検査で、大動脈弓の拡大が確認できれば疑われます。
しかし、レントゲン検査のみで発見するのは難しいことが多いです。
確定診断は、CT検査、特に造影剤を使用したCT検査がほぼ必須と考えられます。

大動脈解離の治療法
裂けている部分が心臓に近い場合は、緊急手術となることが多いです。
裂けている部分が心臓から遠い場合は、絶対安静の上、血圧を下げる薬を使って経過観察をします。
しかし、出現している症状により心臓から遠い場合でも手術になる可能性があります。

かなりざっくりとしたまとめで恐縮ですが、腰痛と思っていたら大動脈解離だったということは起こりえます。
特に、腰痛が急激発症で移動する痛みである場合、高血圧・糖尿病のような動脈硬化につながる疾患をお持ちの場合は注意が必要です。

大動脈解離は一般の診療所では診断が困難であるものの、非常に重篤な状態になる可能性がある疾患です。
今回のブログを書いていいて、意識して診療に当たる必要があると再認識いたしました。

では、また!

うえだ整形外科クリニック 医師 上田英範