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犬に噛まれた、猫に噛まれた、動物咬創について

医療

こんにちは!
西尾市一色町の整形外科クリニック うえだ整形外科クリニック 院長 上田英範です。

最近twitterなどでは狂犬病関連のツイートやキーワードを見ることが多いですね。
ネット検索してみると、下記のような記事も出てきます。
狂犬病リスク「上がらない」 避難民ペット、ネット炎上で釈明―農水省
ウクライナから避難されて来た方のペットが狂犬病の予防接種をしていないかもしれない、ということでしょうか。
これに関しては、私は知識を持ち合わせておりませんので、明言は避けたいと思います。

さて、これに関連して、本日の話題は犬に噛まれた、猫に噛まれたなどの動物咬創の話についてです。
整形外科の外来をしていると、飼い犬に噛まれた、飼い猫にかまれたなどの主訴で受診される方は比較的よく診させていただきます。
私は経験上、動物に噛まれた系の傷はかなり慎重に治療を行います。

動物咬創の特徴は、咬み傷は表面上は小さいのに、奥は結構深いということです。
傷の処置の基本は「消毒はしない、とにかく洗浄!」なのですが、咬創は洗浄しても入口が小さく、傷の奥まで十分に洗浄ができないというデメリットがあります。

あと、咬創で基本的にやってはいけないのは、縫合処置です。
先述の通り奥まできれいに洗浄できていない傷を縫合すると、内部に細菌を閉じ込めてしまうことになります。
細菌は閉鎖空間が大好きなので、ものすごい勢いで感染が広がることになります。

以上のことより、咬創の処置の基本は、「とにかく徹底的に洗浄、縫合処置はせず自然に傷が閉じてくるのを待つ」ということになります。
さらにその上に、十分な抗生剤内服を行ってもらい、状態によっては点滴による抗生剤治療も追加します。
そして、処置した翌日には必ず受診してもらいます。
ここまでやっても翌日に細菌感染が悪化していることがあるので、本当に咬創はやっかいです。

ここまで読んでいただけたみなさんは犬に噛まれた、猫に噛まれた(場合によって人間に噛まれた)場合は、大変な自体になる前に迷わず整形外科を受診してください。
整形外科医からの切実なお願いです。

では、また!

うえだ整形外科クリニック 院長 上田英範

執筆者

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執筆者

上田 英範

うえだ整形外科クリニック 院長

2021年、愛知県西尾市にうえだ整形外科クリニックを開院しました。地域医療に貢献するため、医師として患者さんに寄り添った治療を心がけております。

経歴
金沢医科大学卒/名古屋医療センター研修医/聖霊病院整形外科勤務/なかざわ記念クリニック整形外科勤務
保有資格
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会リウマチ医/日本整形外科学会スポーツ医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション医
所属学会
日本整形外科学会/日本リウマチ学会/日本骨粗鬆症学会/日本整形外科超音波学会/日本リハビリテーション医学会/日本整形内科学研究会